家への想い
三十歳までに家を建てるぞ!
二十代の半ばに私も真剣に家づくりを考えた事がありました。
その頃の給料は、手取りで11~12万円。
当然、夫婦共働きでした。その当時の家賃が月々4万円。
ご多分にもれずそれ程裕福な状態ではなかった事を記憶しています。
今考えるとかなり無理のある計画でした。
私は子供の頃から借家住まいでしたので、親といつも同じ部屋で持ち家に住む同年代の友人達やテレビのドラマにでてくる自分の部屋というものに執着心が強かった様に思います。
結婚して数年の間は贅沢といえば給料日に当時住んでいたアパートの近くにあったサッポロラーメンの店に行って二杯のラーメンと一皿の餃子と一本のビールを分け合って飲む事が月に一度の贅沢でした。
今考えれば夢だけを考えてがむしゃらにやっていた懐かしい思い出です。
当時は、今と違って貯金の金利も2%ぐらいありましたから数年間の無理で結構な(当時の自分達のレベルとしては)金額のお金を貯める事ができました。
しかし、残念な事に私には家を建てるための知識と言うものがまったくありませんでした。
まず最初にやった事は皆さんと同じ”モデルハウスの見学”でした。
知識のない私達は、モデルハウスの大きさ・豪華さにあこがれ、きっと自分達の家もこうなるんだと夢を大きく膨らませていました。
しかし……
そして挫折!
モデルハウスの豪華な設備や広々とした間取りは私達の苦労して貯めたお金だけではとうてい買えるような金額ではなかったのです。
担当の営業マンとも打ち合わせを繰り返しました。
しかし、大きくなっていく不安や不満とは逆に家はどんどん小さくなっていきました。
あげくの果てには「あなたの予算ではどこの家も買えませんよ」と担当の営業マンにまでさじを投げられてしまいました。
こうして三十歳までに自分の家を持つという儚い夢はこなごなに砕け散ってしまったのです。
今考えればもっと別のやり方を選択していたら当時でもそれなりの家が持てたのではないかと思います。
しかし、当時私たちの周りには教えてくれる人も相談に乗ってくれる人もいなかったのです。
だから今は・・・
今は、私も家をつくる側の一人です。
つくる側になって改めてあの時感じた挫折感を今も忘れることができません。
私がやってもらえなかった事を私が家を建てる皆さんにはしてあげたい。
家づくりを考える皆さんにあの時の私の挫折感は味わってほしくない。
仕事である以上売る事は大切です。
しかしそれ以上に皆さんの”味方・仲間”でなければいけないと私は考えています。
色々な問題が多いあなた。
夢だけは捨てずにいてほしいのです。
きっとあなたの力になってくれる誰かが居る筈です。
少なくとも私はその一人です。
住人・十彩の家づくりの基本は”信頼”です。